仕事先の社長に、写経をすると内容が頭に入ってきてすごく良いよ。仕事の時間使っていいからやってみなさい.
って言われて、必要な情報を紙につらつらと、チラっと覗きにきた社長に
字が男の子じゃん。
と言われちょっと悲しくなりながら写し書いてた午前11時。
習字に通ってたこともあったのにあたしの字はことごとくひどい。汚いってゆーか情けない字をしている。
ずーっと文字を書いていると、中学校や高校の頃を思い出す。英語も書きながら音読するのが良いとか言うけど、書く話す読むで脳みそ3回使うから良いのかな?
頭に入るような入らないような、、
気付いたら同じ文を2回書いているあたりを見るとこの障りはまったく頭に入っていないことが分かる。
紙の上でペンを動かすってちょっと戒めの意味もあるよね。前の会社で遅刻してしょっぴかれてたときに、私は時間を守りますって自主的に誰に見せるわけでもなく紙に2枚分書いた自分がいたもん。
兄ちゃんにそれを見せたら
お前は何をしたらこんなことをしなきゃいけなくなるんだ?
って疑問に思われたよ。
あたしも何でそんなことをしたか分かんないけどそれがあたしが思い付いた意識改革への第一歩だったんだろうね!
高校のときに職員室で先生たちみんながいる前で化粧の反省文を大声で読み上げさせられてたナナの記憶から、あたしの潜在意識に、書くことと読むことは戒めって認識してるのかもしれない。
それにしても、かれこれ15回ほど恋愛を変愛と書いてしまう自分には何か問題が?
ちなみに先ほどからあたしが写経している内容は
¥19800でバカ売れしたネット資料
「愛されモテ子の恋愛講座」
外見に自信がなくてモテない女の子の必勝恋愛マニュアルを誰でもないあなただけにお手頃価格で教えてあげましょう!という女の子の人生を180°変えてしまうであろう夢のようなマニュアルである。
最初の10ページぐらいは、延々と愛されモテ子のおかげでいかに人生が変わったかという幸せ報告の寄せ集め
みんな一様に、◯◯の魔法を使ったおかげで..!
◯◯の魔法しか使ってないのに..!
こんな偽ライターが綴った寄せ集めの写経を続けているおかげであたしまで◯◯の魔法が気になって気になってしょうがなくなってきた!!
ペンを走らせているうちに段々身体が火照ってきて、自分がこんなにも愛されモテ子に集中していることに疑問を感じ我に返る。
あたし何でこんなことしてるんだ?愛されモテ子の魔法が欲しいなら魔法を使い終わった人たちのその後の人生なんて飛ばしてしまうべきだ。そうだ!真面目ちゃんなんて止めてズルしてしまえ!えぇい!!
パラパラとページをめくり始めた途端に頭がクラクラし始める
あれ?熱が..
身体が熱い。頭がクラクラする。
集中して身体が熱くなってるんじゃない。本当に熱が出てるんだ。
身体の火照りを確信しつつも愛されモテ子のページをめくり続ける。こんなにフラフラしながら愛されモテ子のページをめくり続けるなんて、あたしはこんなにもモテたかったのか?でもこの扉を開けてしまった以上やめる訳にはいかない。モテモテキラキラの魔法の世界まで5秒前!
パラパラ..こんな私が憧れの彼に告白されるなんて..パラパラ..授業中に彼からメールがきてまじビビりました!..パラパラ..何かお前変わったねって彼からのチュー.....
◯◯の魔法がどこにも出てこんやないかいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!
っっっっはぁぁビックリした!
本編まで写経してね☆との社長の言葉とは裏腹に本編どころか幸せ報告だけのハリボテの紙の山だった愛されモテ子恋愛講座。
何これ!あたし何してたのこの30分間!それこそまさに魔法だよ!何かプラスになってた!?この30分間!けっこう長い時間ハマっちゃったよ愛されモテ子たちの幸せ報告!
インナー爆発したおかげで疲労が更に出てしまい、体感温度は急上昇。
帰ろう。
あと1時間くらいで会社にみんなが戻ってくるだろう。
もう体に負担はかけまいと、刺激を与える行動は控えることに。
本棚にあった佐伯チズさんの美肌本をパラパラとめくる。
あー佐伯チズさんのお肌はキレイだなぁ
たるまないためには、常に上へ上へという気持ちでいることって書いてある。
そうかそうか。
発熱で細胞全体がダラーンと重力通りに落ちてたあたしは、
上へ
上へ
と意識し始めた
上へ
上へ
ウップ
ウップ
吐きそうになった。
まったく人の意識というものには感銘させられる。
あ..暑い..
キュ..キュウリが食べたい..
人が帰ってきたので事情を話し、暖かく見送られ家へ帰ることに。
途中までむかえに来てもらって、オススメされた家の近くの病院へ。
副院長先生かいいかな。点滴してもらうなら院長先生だけど。
とのオススメを頭に響かせながら
院長先生お願いします。
とフラフラしながらサビれた受付に伝える。
にしても小さくて暗い病院だ。
誰もいなかったので、待合室のベンチで寝っ転がりながら待っていた。
病院の名前が小学校の頃人気No.1だった男の子の名前といっしょだったので、虚ろになりながらも頭の中に爽やかな小学校の男の子がリレーをしているキラキラした映像が浮かぶ。
GALAPAGOSさーん
と呼ばれ、
出てきたのは体力を温存して動かない爬虫類のような院長先生(推定80)
なにも言わずにギョロっと上目遣いで見る様はまさに年老いた白髪のセル。目は、右と左が逆方向に向いている。今にも長い舌が出てきて頭の1つや2つでも食べられそうな面持ちだ。
あ:熱があるんですけど
院:熱は測りましたか?
あ:まだです。さっき帰ってきたばっかりで
院:そうですか。ノドやられてるでしょ?
院:胸がどくどく言ってるね。寒気もするでしょ?お薬出しておきますからね。
カーン!診察終了!最速!医療界のシューマッハ!
先生、熱は測らなくていいんですか?
と尊敬の念がまったく感じられない上から目線な声で看護婦。
院:あぁ熱ねそうそう。
と看護婦に操られるがままに熱を測り始める院長先生。
熱は38℃だった。あたしは扁桃腺持ちで、これくらいの発熱は年に2回くらいある。熱が出るともう何もできないよ。
院:それとね
15秒停止
動かない。先生は動かない。それとね、と言ったキリ息もしてないんじゃないだろうか?看護婦さんも動かないので後ろの時計が動いてなければ、他の誰が私たちの間に流れている時間に気付けただろうか?
院:こ血管。
看:あぁはいはい。
よかった!ちょっと時間止まっちゃっただけか!!あぁ何事もなかった!
あ:先生、点滴打ってほしいんでしけど
院:熱が出たばっかりだから点滴はいらないよ。注射で大丈夫。
じゃあそこ寝てください。注射射つから。
あ:え?点滴じゃないんですか?
看:先生、点滴だって
院:あぁはいはい点滴ね。
先生、さっきまで点滴しないって言い張ってにすごい身替わりの早さ..きっとこの会話の間に先生の決定を変える何かがあったんだろう。そんなあっさり自分の主張を忘れるなんてことはないない。
点滴のために通されたところは、映画に出てくるようなもぐりの病院のオペ室みたいにまた薄暗い部屋。
昔分娩室やオペ室として使われていたらしい。
ちなみに院長先生は、足腰が悪いのか移動するときは横移動するときは、反復横飛びをするときの移動方向でゆっくり移動する。
簡易ベッドのようなベッドにおそるおそる寝てから
院:今日は安静にしてくださいね。
あ:お風呂はダメですか?
先生に声が届かなかったらしく
看:先生、お風呂はダメですかだって!!
とまたまた優しさと尊敬が感じられない声で怒鳴る看護婦。
チラっと見ると、先ほどとはまた別の看護婦さんだった。
先生病院中の看護婦に全然尊敬されてない!!
でもそんな声を浴びせられても先生の顔は少し口角が上に上がって感情を出さないけど常に幸せそうなイグアナみたいな顔をしている。
何だか先生がだんだん愛おしくなってきた。
看護婦さんから針を渡されて点滴が始まる。
痛い。
しかも先生、手が震えている。
すごく痛い。点滴でこんなに痛いのは初めてだ。
しかも先生は、1番痛いところで点滴を射す手を止めて
コヒューゥ...コヒューゥ...
かすれた息を荒げ始めた。先生、このベッドが必要なのはあたしじゃなくて先生なんじゃないかい?
先生と患者二人三脚で頑張りながらも先生にウイルスがうつらないようにすっと自分の口を覆う。
院:入ったかな?
看:入ってないね。
院:入ってないか..おおおお!
先生の「おおおお」という医者あるまじきリアクションにチラっと自分の腕を見てみると、タラタラと血が出ていた。
もはやあたしの腕には3点ほどの点滴の跡がついており、周りは血を拭ったガーゼで何だか重病患者のような出で立ちになってしまった。
このときあたしは思い出した!!!!
この先生は、友達が朝立ちとともに寝ぼけてベッドから転げ落ちてしまったときにチ○コが折れて大量出血してしまったときにお世話になったT先生に違いない!!!
この先生は私たちの数々の友達がこの先生を通過しており、何を隠そうゲイ疑惑で有名の先生だ。
うう..やられた..という気持ちと、とうとうあたしも通過してしまったかという何とも言えない思いをめぐらせているうちにもあたしの腕にはブスブス穴が増えている。
終いには先生は
院:タイミングがね..
と、よく分からない言い訳まで言い始めている。動かない血管相手にタイミングもクソもあるのだろうか?いや、でもこれに関しては専門的な知識がないあたしは何も太刀打ちできまい。
とうとう5回目の針投入で
看:入った..!
という驚嘆が混じった看護婦の声でフィニッシュを遂げる。
先生は、
院:入ってる?入ってるね。
と、落ち着かない様子で自分が成し遂げたことを何度も確認している。
点滴を頼んだあたしが悪かった。本当は先生が注射だけにしたいのを気付いた時点で点滴はやめておけばよかったのだ。
その後も先生はたまに突然現れ、話しては消えまた突然現れ、ぺちゃぺちゃと話しては消えた。看護婦がいないところでは先生は自由そうだ。
針を抜くとき、丁度先生が押さえた針が刺さっていたところで先生が体重をかけて自分が立っているためのバランスとられたのですごく痛かった。
最後に、注射を打っておしまいだったのだが、
院:皮下注射だからちょっと痛いよ。
とちょっと緊張した面持ちで打つ先生。
一瞬で終わると、
院:しょれじゃあ◯△*;+#□酸▽ひょひょ。
緊張抜けたか先生!!最後に何言ってるかさっぱり分からなかった!!!
待合室には、フィリピン人の女の人とおじいさんが待っていた。
女の人は、早口のフィリピン語を話しながら「うるさいっ!」とだけ日本語で放っていた。
あーげほげほ
8.31.11
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んg
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