Monday, October 31, 2011

支援ってさ

市民マーケットであたしが奇妙なマヨネーズ容器のようなくまのパッケージの美白クリームに気をとられていると

するっとあたしの腕に触れるしっとりした指先

その触れ方が今まで経験したことのない感触で

びっくりして横を見ると

顔に大きな腫物ができた8才くらいの男の子。

お金が欲しい

とのその子の言葉に

胸がどきどきしながら「Sorry」とうつむいた。

今ここでお金をあげたらこの子はずっと働かないかもしれない。
でも誰かがお金を渡さなかったらこの子は死んでしまうかもしれない。


去っていく男の子と別方向に歩きながらも、腕に残ったあのそっとすがりつくような感触で涙が出そうになる。

もしかしたらあの子は本当に働けないんじゃないのか?
1ドルくらいあげてもよかったんじゃないのか?

罪悪感と後悔とこれがあの子のためなんだと言い聞かせる気持ちと



正義ぶるわけじゃないけど、あたしは毎回答えが出ない。




みんなホームレスにってお金を渡すのかな?

あたしは、あたしの職場に向かう途中にいるいつも通勤ラッシュの中に立ってたまに
「ちょっとすみません、お金をください」
って話しかけてくるおばさんは、完全無視で風を切って突っ切ってしまう。



そのおばさんの背景に何があるかは分からないけど、そのおばさんは明らかに働けるのに通勤ラッシュで重い鞄を持って息を切らして階段を昇る人を引き留めて、「すみませんけど、お金をください。わたしお金がないんです。」って言うんだ。



NYのホームレスは、かなり活発だ。

電車の中でいきなりバーンっと入ってきては
「俺の名前はトム!!こうこういう理由で職がなくてホームレスをやっている!!君たちの1ドルをどうか俺に恵んでくれ!!!!」
とか声高々に演説する光景を、よく見る。というか毎日だ。


中には自分でパフォーマンスをして稼ぐ人たちも。


パフォーマンスをしてる人たちにはあたしはよくついついお金を渡してしまう。
こんな社会の中で生きるパワーを感じてたまに逆に感謝するときもある。


NYはまた特殊で、人種の問題で働けなかったり治療ができなくてホームレスになってしまう人がたくさんいて、更にそういう人たちが街の中にいるから人目につきやすいし目立つ。目ん玉が飛び出してしまっている黒人の人を何回か見たことがある。


サンドイッチを買って、2つついてきて、1つ要らないなと思ったときにはそういう人たちに渡したりしたときもあった。

もしくは、ホームのベンチにそのまま置いて行ってた。そしたら時間も経たないうちに彼らが食べるから。人間的な扱いをしていないように聞こえるかもしれないけど、対人間として食糧調達のやり方が違う人たちとあたしなりに食べ物をシェアしただけで、決して上から目線の行動ではない。


でも、物乞いの子供たちはどうかな。

発展途上国への資金援助で援助に慣れてしまい労働意欲を失う国民が出てその国の本当の援助にはなっていない。
ってゆーのと同じように、自分はお金をもらえるっていう形に慣れてしまったら確かに今後その子はずっと仕事をしない大人になってしまうかもしれない。


一度エサを与えられた野生動物が食べ物を自分でとれなくなってしまうように
若いだけで可愛いって言って高額給料をもらえたキャバ嬢が自分で仕事ができなくなるように
援助交際をした女子高生がローソンでバイトなんてしてらんねーと麻薬を売るようになってしまうように


その子供も、自分で生きられなくなってしまうかもしれない。


アンコールワットの出口で話しかけてきた女の子がいた。

木のブレスレッドをあたしに1ドルで売ってくる

Where are you from?Thailand?カップンカー!
Japanese?お姉さんカワイイ!こんにちはー!安いよ1ドルだよお姉さんカワイイよ!


と多分5か国語くらい同じ単語を覚えててずーっとぴったりくっついてくる。

トイレから出てきても出待ちしてあたしを見つけて手をぶんぶん振ってくる。


でもその子、目がきらきらしてて笑顔が無垢で、まるでその仕事を楽しんでるみたいで

でも周りにもいっぱい子供が集まってきたからあたしはそのままバスに乗り込んだ。

そしたらその子

バスに乗ってからも窓の外から顔出してお姉さああああああああああああん!!!!!!!!!!かわいいいいいいいよおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!

と半分ヤケになって10分くらい叫び続けてた。

声が枯れて喉が焼けるんじゃないかってくらい叫んでても、ちらっと見てみるとその子はまだ笑顔。


気付けば15人くらいの子供がバスの周りでバナナやら写真やらを売ってて

とうとう諦めて遠くに行ったその子を呼び戻して、あたしはその木の腕輪を買った。


カンボジアのお金を受け取るとその子は抜けた歯でぱぁっと笑ってありがとう!!と叫んでタタタッッとまた駆けて行った。


あたしにとっては1ドルだけど、あの子にとっては価値のある1ドル。


支援の形にもいろいろあるよね。



人と人との間のデコボコがぴたってくっついた瞬間に本当の支援は成立するんじゃないだろか。




でも、あの市民マーケットの指の感触は一生忘れないと思う。

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